喫煙されている方へ
近年では健康ブームによって、タバコを卒業される方も増えています。実際に喫煙は、肺がんや心筋梗塞、脳卒中などの疾患のリスクを高める要因になる習慣です。
また、喫煙は身体だけでなく目にも悪影響を及ぼします。中でも「加齢黄斑変性症」は、喫煙者に多く見られる眼科疾患の一つです。「加齢黄斑変性症」は、黄斑(物を見るのに重要な眼底にある組織)に障害が起こることで、視野の中心が歪んだり暗く見えたりする疾患です。悪化すると、歪んで見える範囲が大きくなったり、暗く見える部分がさらに暗くなる症状がみられます。
日本では成人の中途失明原因の第3位で、欧米では第1位を占めています。
特に喫煙をする方は、そうでない方と比べて3倍も、加齢黄斑変性症になる可能性が高いと言われています。発症リスクを高めないために、喫煙習慣のある方はまず禁煙を始めてみましょう。
喫煙によって発症リスクが高くなる眼科疾患
喫煙によって発症しやすくなる疾患は、加齢黄斑変性だけではありません。
加齢黄斑変性
年をとることで黄斑が変化してしまう疾患です。高齢者の失明原因として多くみられます。脈絡膜から新生血管が生えてくるかどうかによって「滲出型」と「萎縮型」に分類されます。
喫煙によって酸化ストレスが溜まったことで炎症を起こった結果、加齢黄斑変性を引き起こすのではないかと考えられています。
白内障
何らかの理由で水晶体が濁ってしまう疾患です。水晶体が濁ると、光がきちんと奥まで届かなくなるので光が乱反射し、網膜に鮮明な像が結べなくなります。その結果、視力が下がってしまうのです。
タバコを1日20本以上吸う方は、吸わない方よりも白内障になる確率が2倍も高いと言われています。
緑内障
視神経の障害によって、見える範囲が狭まってしまう疾患です。主な原因は、眼圧の上昇です。
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて血液の流れを悪くする働きをしています。それによって眼圧が上がり、視神経に悪い影響を与えてしまいます。
糖尿病網膜症
糖尿病を発症すると血糖値が高くなり、網膜の毛細血管を傷つけて出血や白斑などを起こしてしまいます。初期段階ですと症状は目立ちませんが、進行すると視力が下がります。最悪の場合、失明に至る危険性もあります。
タバコには血管を収縮させる作用があります。網膜の血の巡りが悪くなると、網膜に必要な酸素や栄養が届かなくなります。それにより、網膜症が悪化します。
糖尿病は目だけでなく、腎臓や神経にも悪影響を及ぼします。こういったトラブルを避けるためにも、禁煙を心がけましょう。