目頭の腫れは涙嚢炎かも
涙嚢炎とは、涙道の一部である涙嚢(るいのう:鼻の付け根部分にあり、涙を溜める役割を担っている器官)が炎症を起こす疾患です。
涙嚢炎になると、目頭やその周りが赤く腫れ、強い痛みが出ることもあります。目頭を押すと、粘液や目やにが排出されることもあります。
涙道が詰まっている、もしくは涙嚢炎があると、白内障などの手術を受ける際にも問題になります。手術時に切開した傷から眼球の中に細菌が侵入し、「眼内炎」を起こすリスクが高まります。こういったリスクを下げるためにも、涙道の疾患をきちんと治すことは重要になります。
涙嚢炎以外で目頭付近が腫れる(赤く腫れぼったい)原因
眼窩脂肪ヘルニア
「眼窩(がんか)」とは、眼球周りの部分で、そこには筋肉や結合組織、脂肪などがあります。「眼窩脂肪ヘルニア」とは、眼窩の脂肪が目の前方に出てくる疾患です。ちなみに「ヘルニア」とは、身体の一部が本来の位置からはみ出てしまう状態です。
軽い場合は治療しなくても大丈夫ですが、ひどくなると見た目に影響を及ぼします。手術で脂肪を取ったり動かしたりすることも可能ですが、その場合は美容医療となり、自由診療となってしまう可能性もあります。
循環不全によるむくみ
目の周りが腫れている場合、血液やリンパの流れが悪くなっているかもしれません。
年齢とともに目の皮膚がたるんだり目周りの血管に異常があったりすると、浮腫みが起こりやすくなります。また、足などの全身に浮腫みがある場合は、心不全、肝不全、腎臓疾患、甲状腺機能異常などの可能性が高くなります。その場合は、早めに内科で診てもらいましょう。
腫瘍
目の周りに腫瘍などができていることで、瞼が腫れるケースもあります。
眼科でMRIやCT検査、病理検査を行い、診断をつける必要があります。
赤ちゃんの目頭押すと膿が出る場合もご相談ください。
涙嚢に溜まった涙には細菌も溜まりやすく、目やにが多く出やすくなります。
「赤ちゃんの目やにが多い」「拭いても目やにがすぐに溜まる」などのトラブルがある場合は、新生児涙嚢炎の可能性が高いです。
鼻涙管の詰まりによって起こっているケースも多いのですが、赤ちゃんの鼻涙道は細めに作られているので、鼻涙管に問題のない赤ちゃんでも新生児涙嚢炎になりやすいです。
目やにが出ている場合は、お湯に浸したきれいなガーゼでこまめに拭き取り、眼科に受診し、経過観察していきましょう。
どうしても目の充血や腫れ、目頭を押すと膿が出るといった症状が続く場合は、治療を継続する必要があります。
治療では涙嚢に水を通し、鼻涙管を開けるようにします。この治療法を1~2週間の1回の頻度で受けていただきながら、抗菌薬を目にさしていきます。
この治療を1~3か月続けても開かなかった場合は、ブジー(細かい針金)を使って鼻涙管の膜を切る処置も検討します。