目やに(眼脂)が出る原因
目やには、目の表面についた不要物(血液内の細胞、病原体、脱落した上皮)を、涙に含まれるムチンが絡め取ったものです。朝、目の周りに少し付いているのは普通ですが、日中も目やにが出る場合は、疾患の可能性があります。
黄色くてネバネバした目やには、細菌やカビ(肺炎球菌や黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌など)によって出てきます。特に、淋菌に感染すると、膿っぽい目やにが多く出ます。白・透明色の目やには、アレルギー性結膜炎やドライアイが考えられます。サラサラとした目やには、ウイルス(アデノウイルス8型など)によって発症する流行性角結膜炎(はやり目)が疑われます。目やにが気になる際は、当院へご相談ください。
目やにがよく出る疾患
結膜炎
細菌性結膜炎
細菌が結膜(瞼の裏側と白目を包む粘膜)に感染して引き起こされる疾患です。目やにや目の充血が主な症状です。子どもや高齢者に多く見られ、特に高齢者の場合は、何度も再発を繰り返すこともあります。
淋菌性結膜炎
淋菌という菌が結膜に感染して引き起こされる疾患です。強い目の充血や、黄色い膿のような目やに(膿性眼脂)が大量に出るのが特徴です。
重症化すると、角膜潰瘍や角膜穿孔を起こし、眼球内部も炎症を生じて失明するリスクが高くなります。
ウイルス性結膜炎・流行性角結膜炎(はやり目)
人から人へと感染しやすい流行性角結膜炎(はやり目)や咽頭結膜炎、急性出血性結膜炎などがあります。潜伏期間はウイルスの種類によって異なりますが、1~7日程度になります。アデノウイルスやエンテロウイルス、コクサッキーウイルスだけでなく、人から人へと感染しにくい単純ヘルペスウイルスや帯状ヘルペスウイルスによる結膜炎もあります。
アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)が結膜に付着することで、アレルギー反応が起こる疾患です。
花粉症の場合は季節性アレルギー性結膜炎、ダニやハウスダストの場合は通年性アレルギー性結膜炎と呼ばれます。結膜は、常に空気にさらされているので、アレルゲンの影響を受けやすい部位です。炎症を起こすと、かゆみなどの症状が起こります。
ドライアイ
目の表面を潤す涙の分泌量が不足したり質が変わったりすることで、眼球の表面に障害起こる疾患です。自覚症状がない場合や軽度な場合が多く、ご自身で判断してしまうと疾患が進む恐れがあります。
主な症状としては、目のかすみや疲れ、目のかゆみ、異物感、充血、涙の過剰分泌などが挙げられます。ドライアイの原因は人によって異なりますので、適切な治療を受けるためには眼科で診察を受けることが大切です。
逆まつ毛
まつ毛は本来、外側に向いて生えています。逆さまつ毛とは、目の内側に向かって生えているまつ毛によって、角膜や結膜が傷ついてしまう疾患です。目の充血や痛み、目やになどが主な症状です。放っておくと角膜炎や角膜潰瘍、視力低下などを起こします。また、眼瞼内反と睫毛内反、睫毛乱生の三種類に分かれています。
慢性涙嚢炎
涙の流れる道の途中にある、袋状の部分(涙嚢)が炎症を起こす疾患です。鼻涙管が詰まることで発症し、発症すると目やにや涙がたくさん出てきます。鼻涙管が詰まる原因は、鼻炎や感染などがあります。鼻涙管を開く手術で治していきます。
コンタクトレンズ
目に合わないレンズや、汚れ・傷のあるレンズを使い続けたりすると、結膜や角膜に炎症が起こります。炎症によって目が赤くなったり痛んだり、目やにが出たりします。
コンタクトレンズは正しい使い方を守って装着しましょう。
いつもより目やにが多い場合は眼科へ相談しましょう
日中でも目やにが多く出る、目やにがたくさん付着している場合は、何らかの眼科疾患にかかっている可能性が高いです。ご自身の判断で市販薬を使うと、疾患が悪化したり家族に感染したりするリスクがあります。
目やにが気になる際はお早めにご相談ください。
赤ちゃん・子どもの目やにの原因
子どもや赤ちゃんの鼻涙管は細いので、すぐ詰まりやすくなります。そのため涙が溜まりやすく、目やにもたくさん出やすくなります。特に心配する必要のないケースが多いのですが、目やにの量や色が変わったり他にも目の症状があったりする場合は、結膜炎や先天性鼻涙管閉塞、逆さまつ毛、ものもらいなどが考えられます。
目やにが気になる際は、当院へご相談ください。
目やにで眼科へ行く目安
朝起きた時に、目の周りに少し目やにが付いている程度でしたら、特に受診しなくても大丈夫です。
しかし、目やにがいつもより多い、日中でも目やにが出る、目やにの色が黄色または緑色をしている、ネバネバした目やにが出るといった場合は、眼科へ受診するのをお勧めします。特に、目のかすみや痛み、視界が眩しく感じるなどの症状も伴っている場合は、重篤な疾患が隠れているかもしれないので、早めに受診してください。
市販薬は使ってもいいのか
目やには市販の薬(目薬など)で治ることもありますが、それだけでは不十分な場合も多いです。目やにの原因は1つだけでなく、細菌やウイルス、アレルギーなど様々あります。そして、原因によって最適な薬や治療法も違います。
目やにの原因が分からないまま薬を選ぶのではなく、一度ご相談ください。正しい診断と処方を受けることが大切です。