ものがぐにゃぐにゃと歪んで見える

「物が歪んで見える」症状はどうして起こるのか?

「物が歪んで見える」という症状は、網膜の中心にある黄斑が変形した時などに起こります。「垂直な線がぐにゃぐにゃに見える」「同じ物を見ているのに左右の目で大きさが異なる」「視界の一部が見えない」「視界の一部が暗く見える」などの症状も、「物が歪んで見える」症状の仲間です。
これは乱視によって起こるケースも多いのですが、加齢黄斑変性や網膜剥離、眼底出血など、失明の危険がある疾患のサインとして起こっている可能性も考えられます。
片目だけに症状が出ている場合は、正常に見えている目で視力を補ってしまうので、発見が遅れがちになります。見え方に変化があると感じた際は、すぐにご相談ください。


物が歪んで見える原因

緑内障

眼圧が高くなるなどの原因で視神経が傷ついた結果、視力や視野に問題が起こる疾患です。ものが歪んで見えるなどをはじめ、視野が狭くなる、視野が欠ける、視界がかすむ、視力低下などの症状を起こします。放置し続けると失明する可能性があります。

緑内障

黄斑上膜(前膜)

黄斑に膜ができる疾患です。その膜が縮むと黄斑が引っ張られてしまい、黄斑の網膜にシワが寄ったり厚くなったりします。それによって黄斑の機能が悪くなると、視力が下がったり物が歪んで見えたりします。

黄斑円孔

網膜の中心部にある黄斑に、小さな穴ができる疾患です。黄斑に穴ができることで見え方にも大きな悪影響を及ぼし、視力が下がったり物が歪んで見えたりします。また、視界の中央が黒っぽく見える「中心暗点」が現れることもあります。
硝子体が年齢とともに変化することで発症する疾患で、特に60代の女性に多いと言われています。

加齢黄斑変性

加齢や喫煙などによって網膜の土台がダメージを受け、脈絡膜から新生血管ができることで黄斑が傷ついてしまう疾患です。日本では、中途失明原因の中で4番目に多い疾患として知られています。脈絡膜から生じた新生血管から水や血液が漏れ出ることで、黄斑に異常が生じ、視力低下や物が歪んで見えるといった症状が起こります。

加齢黄斑変性

網膜静脈閉塞症

網膜の中心部にある静脈が詰まってしまう疾患です。網膜の血管から水が漏れることで、黄斑に浮腫が生じます。50歳以上の人に多く見られ、高血圧や動脈硬化と密接に関わっている疾患とも言われています。糖尿病の方も発症しやすいので要注意です。

糖尿病黄斑浮腫

網膜の毛細血管に障害が起こる疾患です。糖尿病の三大合併症の一つとされており、日本では、中途失明原因の中で2番目に多い疾患として知られています。
血糖値が高いままになると網膜の毛細血管が傷ついて閉塞してしまい、網膜に酸素が届かなくなります。さらに、壊れた毛細血管から血液の成分が漏れ出て、黄斑に浮腫が起こります。

中心性漿液性脈絡網膜症

網膜の下には、色素上皮層と呼ばれる組織があります。この組織は網膜を保護しているのですが、孔が開いて水漏れが起こることがあります。この疾患を中心性漿液性脈絡膜網膜症と呼びます。中年の男性に多く見られ、心身の過度なストレスが原因になって起こると考えられていますが、自然と治ることも多い疾患です。しかし、治らない場合はレーザー光凝固術で治す必要があります。液体の漏れる場所が黄斑の真ん中だった場合は、光線力学療法を選択します。加齢黄斑変性の発症にも関与すると言われているので、中心性漿液性脈絡膜網膜症を発症した方は注意が必要です。

眼底出血

網膜の毛細血管が破れてしまう眼底疾患です。生活習慣病によって、動脈硬化を起こしたり毛細血管へのダメージが多くなることで発症します。また、怪我が原因になるケースも存在します。発症すると、物が歪んで見える、視界がぼやける、視野が欠ける、飛蚊症になるといった症状が出ます。


ストレスが原因で歪んで見えることもある?

物が歪んで見える場合は、網膜の中心部にある黄斑に変形などの異常が生じている可能性があります。緑内障や加齢黄斑変性、網膜剥離、眼底出血などの疾患が原因で起こります。また、ストレスによって発症リスクが高まる中心性漿液性脈絡網膜症も、視野が歪んで見える症状が起こります。