アトピー性皮膚炎をお持ちの方が注意したい目の病気
重度のアトピー性皮膚炎を抱えている患者様は、眼科疾患を併発する傾向があります。その原因はいまだ解明されていない部分もありますが、アトピー性皮膚炎の患者数が近年増えていることと関係があるのではないかと考えられています。
アトピー性角結膜炎・春季カタル
アトピー性角結膜炎とは、アトピー性皮膚炎と併発するアレルギー性の結膜疾患です。
目の強いかゆみや充血、涙が出る、瞼の皮膚が厚くなって感染も起こしやすい状態になります。まばたきの減少や、涙液の角膜保護機能の低下が起こり、角膜上皮障害を引き起こすケースもあります。
春季カタルとは、春から夏にかけて発症する重度のアレルギー性結膜炎です。春季カタルの患者様の70%以上が、アトピー性皮膚炎を発症しています。発症すると点状表層角膜症や角膜びらん、角膜が濁るなどの重い角膜障害を起こします。
瞼の皮膚炎が長引く方は特に、重症の角膜炎を起こしやすいので要注意です。
どちらも抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬を使って治しますが、目だけでなく、瞼の皮膚炎も同時に治すことも重要です。
アトピー性白内障
アトピー性皮膚炎が長引いたり顔の症状が重くなったりするほど、白内障を合併する確率が高くなります。これは、目をかゆくて擦ったりたたいたりすることが、白内障の発症に関わっているのではないかと考えられています。
アトピー性白内障を発症した水晶体は、嚢(レンズの厚い所)が星またはクローバーの形のように濁ったり(前嚢下混濁)、皿のように濁ったりする(後嚢下混濁)のが特徴です。これらの嚢下混濁があった場合、水晶体全体が濁って成熟白内障(膨潤白内障)へ進むリスクが高くなります。
アトピー性網膜剥離
近年、若年層の網膜剥離の原因として増えている疾患です。顔や目の周りの皮膚炎がひどい方に多く見られているのですが、これは、目のかゆみによって瞼を擦ったり叩いたりする習慣が影響しているのではないかと考えられています。